K123活性化療法

気血

1.気

(1)気の概念

気は空気として昔から自然現象の一種として認識されていました。東洋医学において気は人体を構成する基本物質と考え、気の運行と変化が生命活動を行うと考えます。『素間・宝命全形論』では「人間は天地の気に生命を受けている」「天地の気に逆らわなければ人間は命を全うできる」と気は人体の生命活動の基本物質であることを述べています。同じく『素間・六節蔵象論』では「気は調和して営みを生じ、津液が形成され生命活動を行っている」と述べています。東洋医学において気とは以下に示すように2つの意味で説明されます。

@. 気は人体を構成する生命活動の基本物質で、飲食物の栄養分と自然界の空気より生成される。

A. 臓腑機能を主どる気には、臓腑の気、経絡の気がありこれらの気が臓腑組織に存在することにより生理活動の原動力となる。

以上のように気は物質的な面と機能的な面を持ち、疾病の診断・治療に広範囲に応用されます。

(2)気の生成

気は人体に分布して作用し、異なる名称を持ちその生成の源は異なります。大別すると、腎の精気、水穀の精気自然界の清気となります。腎の精気は生まれつき父母より受け継がれ、先天の精と呼ばれます。また水穀の精気は飲食物を脾胃で消化吸収し得られるので後天の精気と呼ばれます。そして清気は肺から吸入される自然界の空気です。気の生成が正常ならば先天の精、後天の精、清気が充実していて、肺、脾、腎の機能が正常ということになります。『霊枢・五味篇』では「半日・食べないと気は衰え、1日食べないと気が少なくなります」と脾・胃の重要性について述べています。故に気の生成には主に肺・脾、腎に関係があり、脾・肺は重要な役割をしているので臨床でいう補気というのは主に脾と肺の二臓を補うことです。

(3)気の機能

人体各部の気には、さまざまな機能形態がありますが、以下の5つの作用に分けることができます。

@. 推動作用

人体の成長、発育、各臓腑経絡の生理括動、血液の循環、津液の分布はすべて気の運行によるものです。気が虚すると推動作用は減退し、生長発育が遅れ臓腑経絡の機能は衰弱し、甚だしいときには血流の生成循環や水分代謝が停滞するなどの病理現象が出現します。

A. 温煦作用

人体の正常体温の維持は気の温煦作用によります。
その作用が不足すると、悪寒や四肢が冷えるなどの症状が現われます。あるいはこの作用が盛んになりすぎると発熱したりイライラするなどの症状となります。

B. 防御作用

『素間・評熱病論』では「邪気が集まる所は必ず正気が虚します」と気の防御作用について述べています。気は皮膚を保護し、病邪の侵入を防止します。また侵入した病邪に抵抗し排除して身体を健康に保ちます。

C. 固渋作用

固渋作用とは血液が血脈の外へあふれ出るのを防いだり、汗や尿が排出過多にならないようにしたり、また精液などの漏れを防ぐ作用のことです。気の推動作用と相互作用があります。
血に対する気の作用は血の運行を統制することです。もし気虚になれば推動作用は減少し血行不良や瘀血の原因となります。また固渋作用が減退すると血は血脈の外へあふれ出て出血を起こします。

D. 気化作用

気化には二つの意味があります。一つは臓腑の機能活動のことです。
臓腑の生理的機能により飲食物から気・血・精・津液を生成したり汗・尿などに転化して排泄することです。もう一つは気・血・精・津液の相互作用のことです。『素問・陰陽応象大論』では「気が充実していれは精も充実してくる」と精と気の相互作用について述べています。

(4)気の分類

人体の気は部位によって分布が異なり、由来や機能、名称も異なります。

@.原気(元気)

両親より受け継いだ先天の精から変化生成したものです。
生命活動の原動力となるもので、人体の気の中では最も基本的な物質です。
『霊枢・刺節真邪篇』では「真気は天より受け、水穀の気と一緒に身体を作る」と述べています。真気は原気と清気より変化生成されます。原気が充実して満ちたりていれば、臓腑機能は盛んになり身体は健康になります。これに対して先天的に活力がなかったり、長期の病気で原気が衰えていると臓腑の気は衰えて邪気に対して抵抗力(正気)が弱く疾病が発生しやすくなります。

A.宗気

肺から吸入される清気と脾胃から生成された後天の精が交わっている気のことで、『霊枢・邪客篇』では「宗気は胸中に集まり、気管支から出ていく、その間に手の少陰心経を通る」と宗気の部位、肺の呼吸運動・心経の運行機能について述べています。また『霊枢・刺節真邪篇』では「宗気の下行がなければ、血脈中の血が停滞してしまう」と宗気と血の関係について述べています。

B.営気

後天の精より生成された栄養分と一緒に血脈中に分布し、血を生成して全身を連行し栄養します。『素問・痺論』では「営気は飲食物の精気で、五臓を調和し六腑を清め、脈中に入ります。経脈に沿って上下に循環し、五臓六腑を絡います」と営気の作用について述べています。

C.衛気

後天の精より生成される人体の陽気の一部で衛陽ともいいます。
『素問・痺論』では「衝気は飲食物より得られすばやくめぐる気です」と衛気の運行が迅速で活動的であり脈外を運行して全身をめぐると述べています。また『霊枢・本蔵篇』では「衛気は筋肉を温め、皮膚を保護し、汗腺の機能を主る」と衛気の機能について述べています。この機能により病邪に対する防衛的役割をします。

D.腋腑の気

五臓六腑に分布する気をいいます。各臓腑機能の原動力となります。
特に中焦の脾気と胃気のことを中気と呼ぶこともあります。

E.経絡の気

経絡中を運行し全身をめくり、それぞれの経絡の活動を支えている気をいいます。

(5)気の運行

先には強い活動力があり、身体を休むことなくめぐります。異なる気にはそれぞれの運行方式で昇降出入という最も基本的な形式をとります。『素間・六徴旨大論』では「気の出入がなくなると生・長・壮・老はおわるし、気の昇降がなければ生・長・化・収・蔵を行うことほできない」と述べています。気の昇降出入は具体的に次のように各臓腑機能や協調関係に現われます。

イ)

肺の呼吸は肺気の降下により行われる。気の出入が自然ならば呼吸が行われ、呼吸は人体の最も基本的な昇降出入の運動といえます。

ロ)

肝気が発散すれば身体中の気の運行がスムーズに行われる。肝気が昇り肺気が降り、一昇一降で相互に制約されます。気が十分にめぐれは陰陽のバランスもとれて、さらに気の昇降はスムーズになります。

ハ)

肺は気を吸収し、腎は気を納入します。一呼一納、一上一下、一出一入で相互関係が維持されます。清らかな空気を肺より吸入して腎に取り納め、濁った空気を肺から呼出して気の交換が完成します。

二)

脾昇胃降で胃は主に飲食物を消化吸収します。脾は主に運化を主どり、胃で柔かくなった飲食物は必要な部分だけ消化吸収され肺に運ばれ、カスの部分を腸に導き体外へ排出します。これは昇清降温作用により脾気が上昇すると胃気は下降し主に消化に関する昇降出入の機能を行います。

このように気の運行形式はおもに昇降出入といえます。各臓腑機能が相互に協調し相互運動をして昇降出入で平衡状態を保ち生理機能を維持します。もし気の運行に異常をきたし停滞したり、逆流したりすると昇降出入が失調して五臓六腑に影響を与え、種々の疾病が発生します。

(6)気の病証

気の病証はたいへん多く一般に気虚証、気陥証、気滞証、気逆証の4つに分類できます。

@. 気虚証

身体周囲あるいは一部内臓の機能衰退などをいいます。主証はめまい、元気がなく言葉に力がない・疲労倦怠感、皮膚が虚して自然に汗が出る。舌は淡く舌苔が少ない、脈は虚して無力などです。原因は原気の不足による臓腑の  機能衰退です。臓腑の気が虚すれば特異な症状があらわれます。たとえば肺気が虚すれは呼吸が浅くなり、脾気が虚すれば胃の運動が不活発になったり、軟便になったりします。治療法は補脾、補肺を中心に補法を用います。

〔参 考〕気虚と陽虚の区別
気虚が発展したものが陽虚といいます。気虚において寒象は出現しませんが、陽虚になると「陽虚は外寒より生ず」の通り寒象が現われ、悪寒や四肢厥冷などの症状が現われます。

A. 気陥証

身体周囲あるいは一部内臓の機能衰退などをいいます。立証はめまい、元気がなく言葉に力がない・疲労倦怠感、皮膚が虚して自然に汗が出る。舌は淡く舌苔が少ない、脈は虚して無力などです。原因は原気の不足による臓腑の  機能衰退です。臓腑の気が虚すれば特異な症状があらわれます。たとえば肺気が虚すれは呼吸が挽くなり、脾気が虚すれば胃の運動が不活発になったり、軟便になったりします。治療法は補脾、補肺を中心に捕法を用います。

〔参 考〕
この証は現代医学では胃下垂、腎下垂、子宮脱、脱肛などの内臓下垂の症状です。

B. 気滞証

身体の一部あるいは一部臓腑に気の停滞が起こり、運行が停滞する症状です。主証は胸腹部の苦悶感・脹って痛むなどです。各臟腑の気滞にはそれぞれ特徴があります。たとえば肝気が停滞(肝気鬱結)するとイライラして怒りやすくなったり、両脇の痛み、胸苦しく不快などの症状があらわれます。治療法は肝気をめぐらせます。

〔参 考〕
この証は現代医学では主に自律神経系の緊張や異常亢進による症候と考えられます。

C. 気逆証

気滞の一逆で本来の気の運行に逆らうことにより生じます。たとえば肺気、胃気、肝気にみられます。主証は肺気逆では咳嗽呼吸困難、胃気逆では吃逆(しゃつくり)、げっぷ、嘔吐、肝気逆では頭痛、眩暈、吐血などの症状があらわれます。治療法は、肺気、胃気、肝気、をめぐらせます。

2.血

(1)血の概念

血とは血脈中を流れる赤色の液体をさし、また気とは密接な関係にあり、生命活動の重要な基礎となります、血は心の推動作用をうけ、脈中を休むことなく流れ、各臓腑・組織・器官など全身に栄養を与えます。これを血の滋養作用といいます。また血は肝で貯えられて流量の調節(疏泄作用)を受け、脾の統血作用(固渋作用)を受けて血が血脈外へ流れ出るのを防ぎます。これを「心は血を主る、肝は血を蔵す、脾は血を統血する」といいます。

(2)血の生成

血の生成は次の3つの意味で説明されます。

@.

脾・胃は血が生まれる根源で血は後天の精(水穀の精)より生じる。
『霊枢・決気篇』では「中焦(脾・胃)に飲食物が入って後天の精となり、水分と混ざり、赤く変化したものを血という」また『霊枢・営衛生会篇』では「中焦の気は胃中より起こり、上焦の気の後に出てここに受け入れた気は必ず糟粕を分けて、津液を蒸発し精微となって、上って肺脈に注ぎそこで津液と化合して血となる」と血生成の過程を説明しています。

A.

営気は血とともに脈中を流れて生命活動を支える。
『霊枢・邪客篇』では「営気は津液となって脈中に注ぎ・津液と化合して血となる」と営気は血の主要成分となることを述べています。

B.

精と血には相互関係がある。
『張氏医通』では「気の消耗がなければ、精は腎に帰り精力を増し、精の消耗がなければ精は肝に帰り血となる」と血と精は根源を同じくして密接な関係があることを述べています。
これらを総合すると血の生成には脾・胃の運化によって得られる後天の精、それより生じる営気、肺の吸入による清気、生命エネルギーの基本となる精が必要となります。ゆえに血の生成には脾・胃・肺・肝・腎などの臓腑の正常な機能活動が必要です。

〔参考〕 
東洋医学でいう血と現代医学の血液との概念は相似していますが、同一ではありません  
しかし一般に物質代謝に必要な物質を運ぶ血液の運搬作用を血ということができます。また今日では造血組織である赤色骨髄の働きはよく知られていますが、東洋医学では 精と血の根源が同じで、髄(骨髄を含む)にあるといわれています。

(3)血の機能

血は身体中を循環し、内では五臓六腑をめぐり、外では皮膚・筋肉・骨に至り、全身に栄養を運搬し、滋養の作用をして、各臓腑・器官・組織が正常に活動できるようにします、
『素問・五臓生成篇』では「肝における血の働きによって視ることができ、足における血の働きによって歩くことができ、掌における血の働きによって握ることができ、指における血の働きによってもつことができる」また『霊枢・本蔵堂』では「血は筋骨を強壮にし、関節運動を円滑にする」と血の機能について述べています。したがって血が不足すれば滋養作用は失われ、各臓腑・器官・組織の機能は衰弱し、視力低下、歩行不能、掌握不能、筋骨が弱く関節が不調などの症状に至ります。
また「精神は血と気より生まれる」といわれますが、『素間・八正神明論』では「血気の働きは人の精神です」また『霊枢・平人絶穀篇』では「血脈は精神を反映します」と血と精神の関係について述べています。すなわち気血が充満していれは、精神機能は充実するといえます。このために臨床で血虚(貧血)や血熱(吐血、鼻血、喀血、血便、血尿)の症状があるために精神的にも変化を生じているケースを多く見かけます。

(4)血の循環

血は血脈中を正常に循環し、川が止まることなく流れるように各臓腑器官と協調して活動を維持しています。心は血脈を主り、心脈は血の循環の推動力となります。
また血は肺を通過することにより、血中の濁気を体外へ排出し、血中に清気を吸入し、再び心脈によって推動され、全身を循環し分布されます。このほか肝は血を貯蔵し、脾は血を統血し血の正常な循環を保証します。
『素間・五臓生成篇』では「人が寝ると血は肝に帰る」と述べていますが、王冰注解によれば「肝は血を貯蔵し、心はこれを運行させる。人が動いているときは血は諸経脈を循るが、人が静かにしているときは血は肝臓に入る」と肝が血の循環調節に重要な作用をしていることを述べています。
このように心・肺・肝・脾などの内臓は相互に協力しあい血を正常に循環させます。そしてその中の一つでも機能失調があれは血の循環は異常を来たし、病変を生じます。たとえば心気虚(心気の不足・動悸・息切れ・胸苦しさ・自汗)ならば血の循環は不足し心血虚(心血の不足:顔面蒼白・動悸・胸部のほてり・不眠)となり、脾は血を統血できず出血を起こし、肝の疏泄作用は異常をきたし、気血のバランスがくずれた状態となります。

〔参考〕
『素間・経脈別論』では「肺は百脈に向う」と肺には呼吸の過程で全身の血は肺を通ることが、肺と百脈の密接な関係について述べていますが、現代医学の体循環(大循環)と肺循環(小循環)の概念を総合したものと考えられます。

(5)血の病証

血の病証はたいへん多く一般に血虚証・血瘀証・血熱証・出血証の4つに分類できます。

@. 血虚証

血の不足により血の滋養作用が失われた状態をいいます。主証は顔色が青白く元気がない、めまい・動悸・不眠がある、舌質は淡い、脈は細く無力などです。また血虚証は部位によって次のように症状に特徴があります。

イ)心血虚:動悸、夢を多くみる、驚きやすい
ロ)肝血虚:目の混濁、物がはっきり見えない、四肢麻痺、筋肉の痙攣、閉経
ハ)心脾両虚:心血虚の症状に脾気虚の症状(食欲減退、腹部が張る、半水様便)が加わる。
治療法は血を補います。

A. 血瘀証

血の循環異常で血脈中の局部あるいは臓腑や血脈から離れたところで循環すべき血が種々の原因によって滞る状態をいいます。主証は血局部の固定された痛み、胸満、しびれ、紫斑、舌の暗紫色、脈は徴大で遅いなどです。また血_証は部位によって次のように症状に特徴があります。

イ)心血瘀:心臓の痛み、胸苦しい、口唇が紫色、
ロ)肺血瘀:胸苦しい、喀血
ハ)肝血瘀:脇痛、張ったような感じ
ニ)胃血瘀:吐血、血便、
ホ)子宮血瘀:腹痛、月経不順、月経痛、閉経、
治療法は血脈を流通させ血_を改善します

B. 血熱証

血分(温熱病の最も深い個所)に熱があったり、熱邪(病因)が血分を犯す状態をいいます。主証は心煩(胸部のほてり)がある、イライラする、身熱(全身の発熱)があり、口渇があるがあまり水を欲しない、舌は紅く、脈は細く速いなどです。臨床上では吐血、鼻血、喀血、血便、血尿としてみられます。治療法は血分の熱邪を除去します。

C. 出血証

血が血脈外へ溢れることを出血といい、体外へ流出したり、体内へ流入したりします。
その原因として血熱出血、気虚出血、血出血、外傷出血の4つに分類できます。

イ)血熱出血:

血分に熱があると出血を起こします。主証は鮮紅色の出血があり、心煩し、舌は紅く、脈は細く速いなどです。治療法は血分の熱邪を除去し止血をします。

ロ)気虚出血:

脾気が虚して、血を統血できないと出血を起こします。証主は色の淡い出血が続く、言葉が少なく元気がない、疲労倦怠感があり、動くとすぐに汗をかく、舌は淡く、脈は細く弱いか無力などです。臨床上で気虚のため中気(脾気・胃気)が不足して子宮出血を起こしていれば、血尿や血便があるのはこのためです。治療法は気を補い止血をします。

ハ)血瘀出血:

血が内積し、血脈を塞ぎ、血が流れず正常な循環ができないと出血を起こします。主証は暗紫色の出血や、塊がある、針で刺すような痛みがある、舌は暗紫色か紫斑がある、脈は徴大で遅いなどです。治療法は血証に準じます。

ニ)外傷出血:

外傷による出血で治療はまず止血をします、また止血と同時に血の内債を防ぐために活血薬を用い、止血後に補血を行います。なお多量出血のときは、陽気が虚脱するので、すくに補気止血を行います。

(6)気と血の関係

『素間・調経論』では「人の有するものは、気と血です」と述べられていますが、気血は経脈中を絶え間なく循環し重要な働きをして、次のような関係があります。

@.

血の生成は陽気に依頼する。

血は気が後天の精を運化することによって生じ、陽気が盛んであれはその力は強くなり、衰えれば弱くなります。したがって気虚になると血虚となり最終的には気血両虚となります。治療法は気血の両方を補います。

A.

血の循環は気の推動作用による

血の正常な循環は心気の推動作用、肺気(肺の機能活動)の分布、肝気の疏泄作用によります。よって気の機能失調が起こると気虚・気滞が起こり、血循環が不良となり血となります。したがって治療法は滞気を流通させ、瘀血をとり除きます。

B.

気が血を統血し出血を防いでいる

以上の3点より「気は血の師である」といわれ、また気は血のおかげでその作用を発揮することから「血は気の母である」ともいわれます。このように気血には相互依存の関係があります。気は血に対して形成・温緩・推動・統血の作用があり、気虚となり形成作用がなくなれば血虚となり、気寒になれば温緩作用はなくなり血滞が起こり、気の推動作用がなくなれは血を生じ気の統血作用がなくなれは出血が起こります。また血は気に対して運搬・滋養の作用があり、血虚になれは、気の運搬は行われず気虚となり、気を失えば血の滋養作用で燥熱(津液を損傷し、熱を生じる)が起こります。特に血脱(出血による虚脱)の状腰においては亡陰(陰液の過度の消耗)、亡陽(陽気の過度の消耗)となり、生命に危険なショック状態となります。『素問・調経論』では「気血の調和がなければ、これらの変化により百病が生じる」と気と血の調和の重要性が述べられていますが、気と血の運行は相互対立、相互依存の関係にあり、生命活動の維持に重要な働きをします。

(7)気血同病(気血の失調)

血の失調には臨床上次の4つに分類できます。

@.

気滞のため血の推動が不能となり血証となるタイプ

多くは肝気鬱結(肝の疏泄作用の障害)により生じます。主証は胸苦しく心悸亢進し、脇が張って痛む、脾臓が肥大し押すと痛む、乳房が張って痛む、月経痛があり月経時に暗紫色の塊がある、閉経になる、舌は暗紫色あるいは紫斑があるなどです。
治療法は気血を流通させて血改善します。

A.

気虚と血虚の両方を合せもったタイプ

主証は元気がない、口数が少なく力がない、汗が出て顔色は青白い、動悸がして眠れない、舌は淡く柔い、脈は細く弱いなどです。治療法は気血の両方を同時に補います。

B.

脾気が虚し、出血が続くタイプ

気虚出血を参照。

C.

大量出血により気血が不足し重症となるタイプ

出血法ショックに相当し・主証は大量出血と同時に顔面蒼白となり、四肢蕨冷(手足が冷えて冷たい)し、汗がしたたり流れて人事不省になる、脈は微かで細いなどです。
治療法は「血脱はまず気を益する」の原則に基づき、急いで気を補って出血を止めます。